「理学療法士としての経験を活かしつつ、新しい職場で挑戦してみたい」
「履歴書で自分の経験・スキルをどのようにアピールすればよいのだろう」
このように考えていませんか?
理学療法士が転職を視野に入れる場合、「履歴書」や「職務経歴書」で自分のスキルや実績を効果的にアピールすることが重要です。
しかし、これまで身につけてきたスキルをどう表現するべきか、志望動機や自己PRでどのように差別化すればよいかと悩む方も多いでしょう。
本記事では、現役理学療法士である筆者が、転職活動をスムーズに進めるための履歴書の書き方や経験を最大限活かすアピール方法を解説します。
理想の転職に向けた第一歩と言える「履歴書の書き方」に悩む理学療法士の方は、ぜひ参考にしてみてください。
履歴書を作成する前に!3つの基本ポイントを押さえよう

履歴書は、理学療法士として転職活動を成功させるための「第一関門」です。無事に書類選考を通過するためには、以下に示す3つの基本的なポイントを押さえておく必要があります。
- 【多種多様】履歴書フォーマットの選び方
- 【それぞれ特徴あり】手書きとパソコン作成の選び方
- 【第一印象アップ】履歴書の写真
それぞれ解説します。
【多種多様】履歴書フォーマットの選び方
履歴書を作成する際、最初に迷うのがフォーマットの選択です。どれを選べばよいか迷う場合は、厚生労働省の公式様式例を参考にしてみてください。
ただし、応募先によっては書式が指定されている場合もあります。募集要項を確認しましょう。
【それぞれ特徴あり】手書きとパソコン作成の選び方
履歴書は「手書き」と「パソコン作成」のどちらでも構いません。それぞれの特徴を理解し、転職先や自分に合った方法を選択するとよいでしょう。
手書き
誠意を強調したい場合に適しています。特に、小規模な施設や個人経営の病院では、手書きの履歴書が温かみを伝えるツールになることも。ただし、字に自信がない場合は避けましょう。
パソコン作成
大規模な病院や多忙な採用担当者を想定した場合には、パソコン作成がおすすめです。
視認性が高く、効率的に情報を伝えられます。また、データの複製が可能なため、手書きのように学歴や職歴、資格など共通の項目を応募先ごとに一から書き直す必要がないのもメリットです。
応募先が「デジタルファイルでの提出」を求める場合は、必然的にこちらを選択することになります。
【第一印象アップ】履歴書の写真
履歴書の写真は、書類選考の際に印象を左右する重要な要素です。以下のポイントを押さえ、第一印象のアップをはかりましょう。
撮影時の注意点
写真撮影時には、清潔感が伝わる服装と整った身だしなみを意識しましょう。具体的には、白や淡い色のシャツにジャケットを組み合わせると、信頼感のある印象を与えられます。
また、髪型はすっきりと整え、顔全体が見えるようにしましょう。表情は自然で柔らかい微笑みを心がけると、親しみやすさや前向きな印象を演出できます。
写真の貼り方
履歴書写真を貼る際は、剥がれ防止のためにしっかりと固定することが重要です。糊や両面テープを均等に使い、写真がずれたり落ちたりしないようにしましょう。また、念のため写真の裏面に名前を記入しておくと、万が一写真が剥がれたり紛失した場合でも安心です。
【例文付き】アピールできる履歴書の書き方

履歴書を通じて、理学療法士としての実績・スキルを具体的にアピールできるため、書き方のポイントを押さえておく必要があります。本章では、以下に示す各欄の書き方を解説します。
- 連絡先欄:基本情報の書き方の注意点
- 学歴欄:新卒と経験者で書き方が違う
- 職歴欄:実績を具体的にアピールしよう
- 免許・資格欄:内容を取捨選択しよう
- 志望動機・アピール欄:応募先に合わせた内容を記載しよう
それぞれ例文とともに紹介します。
連絡先欄:基本情報の書き方の注意点

正確かつ最新の情報を記載することが基本です。以下のようなポイントに注意しましょう。
- 住所:正式な表記(例:「〇〇県〇〇市〇〇町1-2-3」)で記載する
- 電話番号:日中連絡が撮りやすい番号を記載する
- メールアドレス:普段使うメールアドレスを使用し、迷惑メールの設定にも注意
ミスがあると重要な連絡が届かず、選考に影響を及ぼす可能性があります。
学歴欄:新卒と経験者で書き方が違う

新卒の場合は、学歴の詳細を丁寧に記載します。また取り組んだ卒業論文のテーマといった学生時代の活動にも触れてもよいでしょう。上から古い順に記載します。
学歴
〇〇年〇月 〇〇大学 医療技術学部 理学療法学科 入学
〇〇年〇月 〇〇大学 医療技術学部 理学療法学科 卒業
– 卒業論文テーマ:「膝関節痛の改善における〇〇手法の効果」
一方、経験者の場合は、学歴は卒業年度だけを簡潔に書き、職歴を詳しく書くようにします。
学歴
〇〇年〇月 〇〇大学 医療技術学部 理学療法学科 卒業
ー以下職歴を詳しく書くー
職歴欄の書き方については、次節を参考にしてみてください。
職歴欄:実績を具体的にアピールしよう

経験者の場合、採用担当者に注目されるのは、具体的な実績とスキルです。
単に「〇〇病院勤務」と書くだけでは不十分で、そこでの経験や成果を簡潔に示すことが大切です。学歴と同様に上から古い順に記載します。
例文は以下の通りです。
職歴
〇〇年〇月 医療法人〇〇 〇〇病院 リハビリテーション科 入職
– 整形外科班に所属。整形疾患の患者を中心に年間200名以上の新規患者を担当
〇〇年〇月 医療法人〇〇 〇〇病院 リハビリテーション科 退職
-退職理由:一身上の都合
ただし、履歴書のほかに「職務経歴書」を別紙で提出する場合は、概要だけの記載で問題ありません。
職務経歴書については後述します。
免許・資格欄:内容を取捨選択しよう

上から取得した順に転職先に関係のあるものを取捨選択して記載してください。
また、記載する場合は正式名称とするのがルールです。
例えば以下表にまとめた通りです。
免許の内容 | 正式な記載例 |
---|---|
理学療法士の免許を保有する場合 | 理学療法士免許 取得 |
運転免許を保有するする場合 | 普通自動車第一種運転免許 取得 |
脳卒中の認定理学療法士をこれから取得する場合 | 脳卒中認定理学療法士 取得予定 |
取得済みの資格だけでなく、転職先に関係のあるもので現在取得に向けて勉強中のものは「取得予定」と記載も可能です。
ちなみに認定理学療法士や専門理学療法士の表記は、以下のように従来から少し変更になっているため注意が必要です。
- 従来:「認定理学療法士(脳卒中)」
- 現在:「脳卒中認定理学療法士」
以前は「認定理学療法士(領域名)」・「専門理学療法士(分野名)」でした。しかし、現在は「分野名+認定理学療法士」・「分野名+専門理学療法士」といった表記に変更になっているため確認しておきましょう。
参考:日本理学療法士協会「認定理学療法士・専門理学療法士について」
志望動機・アピール欄:応募先に合わせた内容を記載しよう

転職を成功させるためには、履歴書の志望動機やアピール欄で自身の強みや経験を具体的に伝えることが重要です。
専門スキルだけでなく、コミュニケーション能力や協調性を示すエピソードを盛り込むと、採用担当者に好印象を与えられます。
例えば、応募先のリハビリに特化した病院であれば、患者との信頼関係構築やチーム医療への貢献を具体的な経験とともに伝えると良いでしょう。
また、記入欄は短すぎると意欲が低い印象を与えるため、最低でも8割以上埋めることを心がけましょう。
貴院が地域に密着し、患者一人ひとりに合わせたリハビリテーションを提供されている点に共感し、志望いたしました。前職では高齢者向けデイサービスに従事し、患者の生活向上を目指しながら、コミュニケーションスキルと寄り添う姿勢を磨いてきました。また、理学療法士として患者の回復を支えると同時に、他職種と連携してチーム医療を推進してきた経験があります。趣味のバレーボールを通じて培ったチームワークの大切さを活かし、貴院でも患者とチームをつなぐ存在として貢献したいと考えています。
職務経歴書で差をつける書き方

転職活動においては、履歴書と並び「職務経歴書」も重要な役割を果たします。ここでは、理学療法士の職務経歴書で差をつけるポイントをご紹介します。
履歴書と職務経歴書の役割を明確に分ける
履歴書と職務経歴書は補完関係にあります。それぞれの役割を理解し、内容が重複しないように注意しましょう。
それぞれの役割をまとめると以下表のようになると言えます。
種類 | 役割 |
---|---|
履歴書 | 基本情報と簡潔な職務概要 |
職務経歴書 | 実績やスキルの詳細な説明 |
履歴書にも学歴の下に職歴を記載する欄があるのが一般的ですが、スペースに限りがあります。そこで、履歴書には簡潔に記載し、詳細は職務経歴書で補足する形にするとよいでしょう。
両者が一貫したストーリーをもつように仕上げるのが重要です。
理学療法士としての実績を具体的に書く
採用担当者が職務経歴書で注目するのは、具体的な実績やスキルです。漠然とした内容ではなく、数値や事例を用いて説得力を持たせましょう。
「〇〇年~〇〇年:△△病院 リハビリテーション科勤務
- 循環器班に所属。循環器疾患の新規患者を年間300名担当
- チーム医療体制を活用し、平均退院期間を15%短縮
- 新人教育プログラムに参画し、部下のスキル向上に寄与
- 日本循環器学会(〇〇年)において「〇〇」というテーマで演題発表
ポイント:
実績には数値や成果を盛り込む
応募先が求めるスキルに合わせて内容を取捨選択する
さらに関連する研修やセミナーの参加歴も重要なアピールポイントです。
職務経歴書にはスペースの関係上、履歴書には記載できなかった職歴や実績の詳細が記載できます。
そのため、転職先に合わせて記載する内容を吟味する必要はあるものの、自己研鑽を続けている姿勢や専門性の高さを印象づけられ、アピールポイントになるでしょう。
まとめ

理学療法士が転職を成功させるためには、履歴書での効果的な自己アピールが重要です。
履歴書作成の基本ポイントを押さえつつ、既卒者は職務経歴書でスキルや経験をアピールするのも効果的です。
採用担当者に本来の魅力が伝わるよう工夫してみてください。
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